公益財団法人京都市環境保全活動推進協会理事長に就任いたしました新川達郎です。長年にわたり協会とその事業の発展に貢献されてきた前理事長高月紘先生の退任を受けての本職ですが,高月先生の公衆衛生学や廃棄物処理研究そして環境問題にかかわる市民活動への長きにわたるご貢献を考えますと,大変微力ではございますが,多くの皆様方のお力添えを頂きながら,尽力してまいりたいと思っております。
従来の協会の主要な事業は,京都市環境保全活動センター(京エコロジーセンター)の管理運営であり,指定管理者として長年にわたり活動を続けてまいりました。
「京エコロジーセンター」は1997年に京都で開催された「地球温暖化防止京都会議」(COP3)を記念して京都市が設立された,市民への環境教育・環境学習の施設です。学習啓発のテーマは温暖化防止をはじめ,ごみ問題や生き物の問題も市民の関心が高いテーマとして取り扱ってきました。
申し上げるまでもなく地球環境問題は今や気候危機と表現されるほどの重大な課題となっております。こうした変化は気候だけではなく生態系それ自体にも重大な影響を及ぼしており,生物多様性の危機も指摘されています。そして,それらの原因として人間の諸活動があるとされており,その解決には生物多様性の保全や温暖化の緩和策・適応策が求められています。これらの問題解決にはグローバルな取組とともに,一つ一つの地域から,そして一人一人の市民の努力が必要です。
当協会はその設置の使命として,京都市の地域において脱炭素社会・循環型社会・自然共生社会を目指してきました。そして,京都市でも2050年には二酸化炭素排出量正味ゼロを目指しているところです。
2019年に組織統合をした「京都市ごみ減量推進会議」は,1996年にごみの減量は行政だけではなく,市民や事業者が主体的に進めるべきだという観点から,京都市とのパートナーシップ組織として設立されました。今日まで,秘密書類リサイクル事業・学校給食用牛乳パックのリサイクル事業・企業や市民向け「ごみ減量実践講座」・啓発イベントへの参加(ブース出展)・2R(リデュース・リユース)の取組の推進を,市民・事業者との協働で実施・地域ごみ減量推進会議への支援等様々な活動を展開しています。
また,同じく組織統合した「京のアジェンダ21フォーラムは」,1997年京都議定書の締結に応えるために,京都の産・官・学・市民のパートナーシップにより策定された地域の行動指針(ローカルアジェンダ=「京のアジェンダ21」)の実現を図っていくために1998年に設置されました。その活動は,温暖化対策を中心にしつつ,家電製品の省エネラベルのモデルづくり,中小の事業所向けの環境管理システム(KES)の開発と実践など,提案を実現するべく社会実験や社会実装を進めて社会全体に広げるなど大きな成果を残してきました。
当協会の使命を果たしていくうえで,この3団体のそれぞれが持つ貴重な知識や技術の蓄積,何よりもパートナーシップを通じた充実のネットワークなどの強みは,統合を通じてさらに大きな成果として示されなければなりません。そのことによって,脱炭素社会,循環型社会,自然共生社会を京都の地から実現していくことが出来ると考えています。
国連の2030アジェンダが掲げるSDGsが当面の2030年に向けての課題となり,世界が約束し,京都市が率先して打ち出し日本政府も表明した「2050年温室効果ガス排出量正味ゼロ」を目指すことが喫緊の課題です。そのためには,京都のあらゆる知恵と資源を持ち寄って工夫をしていかなければなりませんし,市民,市民活動組織,事業者,教育研究機関,行政など,あらゆる人々がパートナーシップを組んで進めて行くことが必要です。
私たちが直面している課題を考えると身の竦む思いをするところもあります。ですが同時にこれまで私たちが多くの方々と蓄積してきた知恵や技術でつながるネットワークは,貴重な財産でありとても大きなものです。それらを生かしながら,丁寧に環境問題の解決に向けて着実に取り組んでいくことが大切だと思い定めているところです。
国の内外,地域の内外を問わず,活動分野やセクターを超えて,皆様方とのパートナーシップを大切に,私たちの環境保全活動を一層活発に進めていくことが出来ればと願っています。
公益財団法人 京都市環境保全活動推進協会
理事長